事故の後遺症から痛みを感じなくなり、人に殴られながら無気力に生きていた男が、わずかな傷さえも命取りになる女と出会って不器用な愛を育むうち、胸の奥の“痛み” を感じ取るようになる。そして、男は初めて愛の痛みを知る。
『友へ チング』『タイフーン』『愛 サラン』などで男の友情と闘いを描いてきたクァク・キョンテク監督が、切なさに満ちたリアルなラブストーリーを作り上げた。これまで監督が常に映画の舞台としてきたホームグラウンドの釡山から出て、ソウルの街を背景に悲しくも美しい純粋な男女の愛のドラマを紡いでいく。
主演は監督が以前から高く評価していたというクォン・サンウ。シナリオを読んで「これは自分の役だ!」と強く感じたという彼は、監督の要求に120%応えリアルなアクションに挑み、本物のアザか特殊メイクのアザかの区別がつかないほど演技にのめり込んだ。髪を五分刈りにし、野暮ったい格好で終始傷だらけの姿を見せているが、そうした姿がワイルドな中にも純粋さを感じさせ、クォン・サンウの新たな魅力を引き出すことに成功している。相手役のチョン・リョウォンも血友病に冒されながら明るく逞しく生きる女性を好演。今までの監督作品の中で最も存在感のあるヒロインとなった。
原案は、ユ・ジテ主演の『純情漫画』やチャ・テヒョン主演の『バカ』など、これまで作品が多く映画化されてきた人気マンガ家のカン・プル。彼が描いた正反対の痛みを抱える男女の物語から、感動的な愛の映画が生まれた。涙を流さないクォン・サンウが心で泣く姿が観客の胸を打つ。